秋色の山女達
朝はいつも行く支流へ行くが、なかなか思うようにいかない。
普段からキャストが上手い訳ではないが、この日は普段はしないようなキャストミスで、根がかりやライントラブルが続く。
当然、釣果のほうも散々である。
他に釣り人はいない。
心を落ち着かせて、なんとかいつものわたしを取り戻す。
しかし、足元に嫌なものを見つけてしまった。
ころがし云々と書かれたゴミである。
釣り人が捨てたゴミが平然とそこにあるこの光景は、渓流釣りで良く見かける。
見る度に本当にがっかりする。
気分を変える為に、以前から少し気になっていた場所へと移動する事にする事にした。
初めての場所というのはドキドキするものだ。
小さな冒険心から、わたしは少し興奮気味である。
思っていたよりも魚影が濃いぞ―。
大月は、まだまだ行った事のない場所が沢山あるようだ。
こんな支流があるなんて。
初めての秋の渓流で出会った山女達は、写真でしか見た事の無い、秋色に染まった山女達だった。
写真で見るのと、実際に自分の目でみるのとでは、やはり違う。
これが秋色に染まった山女か―。
ワタシの目の前にいる山女の、なんとも綺麗な事。
この山女は口元のホクロが、まるでマリリンモンローのようで、とてもセクシーである。
ナンノちゃんと名付けよう。
ナンノちゃんとは、初めて訪れた支流で出会った。
ナンノちゃんは7寸程ながら、とても元気であった。
さほど流れの無い中を、ジジ、ジジと控えめにドラグが鳴る。
わたしの周りには渓流釣りをする友人が2人いるが、いつも3人で釣りに行ける訳ではない。
都合がつかず、1人で行く事もあるし、2人で行く事も勿論ある。
この日は久しぶりの3人揃っての釣行という事で楽しくてテンションもあがる。
今年はあと1回、シルバーウィーク釣行で3人揃っての渓流釣行は終了であろう。
今年から渓流釣りを初めて、随分と渓流に足を運んだものだ。
まさか、こんなに夢中になるとは思いもしなかった。
来年も楽しく釣りが出来ると良いな、と思いながらナンノちゃんに別れを告げた。
サヨナラ、ナンノちゃん。
また来年、大人になった君に会えるのを楽しみにしている。
4寸程の山女達も、立派に秋色に染まっていた。
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